コーチング パラリンピックテニス金メダリストの行動特性とは 2021.09.07 昨日閉幕したパラリンピックでテニスプレイヤーの国枝選手が2大会ぶり3度目の金メダルを獲得し「一生分泣きました」と万感の思いを語っていました。 私が国枝選手を直接拝見したのは、2010年11月に初めて見学した「Know No Limit 2010」でした。 「Know No Limit」(挑戦に限界はない!)は、日本初の脊髄損傷者の機能回復訓練ジム、J-Workoutが毎年秋に開催している歩行披露イベントです。 ジムのトレーナーと共に長く険しい回復への道のりを歩む脊髄損傷者がその成果を披露する場であり、彼らの家族や友人、トレーナーなどが見守る中、サポートを受けながら一歩、また一歩と歩む姿は熱気と温かい感動に包まれます。 J-Workoutでトレーニングを続けてこられた国枝選手は、ステージに車椅子で登場しました。 そして、J-Workoutの創設者で当時の社長であったトレーナーの故渡辺淳氏とアシスタントのトレーナーがスタンバイする中、車椅子から立ち上がり17年ぶりにご自身の力で歩かれたのです。 どれほどのリハビリを積んでこられたのか、と私は感嘆の思いで見つめていました。 渡辺氏は「もう貴方は一生歩けない」と宣告され、悲嘆にくれ、諦めてきた何人もの脊髄損傷者の機能回復を可能にしてきたことを「奇跡はメソッドの中にある」とJ-Workoutのトレーニングのユニークさを紹介されていました。私はそれを聞いた時、自身のコーチングのメソドロジーに寄せられる多くのクライアントの言葉と重なったことに深く心を動かされました。 渡辺氏は国枝選手へのトレーニングを通じて感じたこととして、「彼はテニスじゃなくても、他のことでも成功する人だと思う。」と話されました。 私はそれを聞きながら、渡辺氏は国枝選手の行動特性を、成功するcompetencyをどのようにご覧になっていたのか、とても興味が沸きました。 「歩いている自分のヴィジョンを思い描き、トレーナーはじめ周囲の人と信頼関係を築きゴールに向かって決して諦めず日々のトレーニングをたゆまず続け自分と向き合う中に成長を見て成果をトレーナーと喜び合い、感謝する」 そういう国枝選手の在りようを渡辺氏はご覧になり、成功する人に備わっている行動特性として感じられたのではないか、と今、もし叶うことなら伺ってみたいです。 渡辺氏は、トレーナーと厳しい回復への挑戦に立ち向かう脊髄損傷者に勇気と希望を与えるために挑戦したマラソン大会で倒れ急逝なさいました。享年29歳。 その突然の悲報は「Know No Limit 2010」からほんの数週間後のことでした。 J-Workouthttp://j-workout.com/ Tweet Share コーチング 多様性の時代のコロナ禍でこそ活かしたい人との繋がり方 コーチは何故クライアントの行動を後押しするのか